病院内で辛いプログラムや治療に耐え、不安や寂しさの中で退屈を伴い過ごす子どもたちと付添う保護者を対象に静岡県立こども病院でミニコンサートを開催しました。
正面玄関入ってすぐの右側にあるフリースペースで、バイオリニストの丸尾さん、ピアニストの良知さんに演奏していただきました。
ちょうど向かえが会計の場所だったので、すでに20名ほど患者さんがいらっしゃいました。
演奏が始まりそうになると5、6歳くらいの女の子とお母さんの親子が会計にやってきました。お母さんがこちらに気付き指さすと、女の子と一緒に会場一番前の演奏が見える席に腰掛けてくれました。丸尾さんが「今から演奏する曲はディズニーの曲です。」というと、お母さんが「ディズニーやるって。やったね。」と娘さんの頬に顔を近づけて言いました。女の子はもじもじしながら頷いて嬉しそうな表情でした。

他にも、赤ちゃんを抱っこしたお母さんや、会計にやってきた親子が演奏に気づいて「ちょっと聞こうか」というふうに近くの席で聞いてくれました。
特に「カノン」や「星に願いを」の演奏中は、席は空いていたのですが、座るのも忘れたかのように肩でリズムを取っている方や、保険者証を手に持ったまま、カバンにしまうの忘れた様子で止まって聞いてくれている方もいらっしゃいました。
入れ替わり立ち替わりでそれぞれ患者さんは聴いてくださっていて、ベビーカーに乗っていた男の子はパチパチと演奏が終わっても手を叩いてくれました。
会計側の席に座った女の子はくるっと後ろを向いて、腕を乗り出してニコニコ演奏を見て聴いてくれました。患者さんの中には演奏の動画を撮り始める方もいたり、赤ちゃんを寝かしつけるお母さんのポンポンの手のリズムが音楽と同じであったり、どの方も新鮮な様子で楽しんでくれているような印象でした。

車椅子の女の子は会計にいる間、演奏の一番前の方にいて、少し顎を上げてずっと気持ちよさそうに聴いてくれていました。親御さんに呼ばれて帰る時は名残惜しそうな表情。しばらくしてまた戻って来て聴いてくれました。その時もすごく心地よさそうに嬉しそうに聴いていて、また聴いてもらえる!と、なんだかこちらの方が嬉しい気持ちになりました。
11:00のチャイムでは患者さんの目線が時計に集まって、早く終わらないかなという様子で、時計と楽器を交互に見ていました。時計の音楽が思いのほか長く、待っている間に演奏のお二人と患者さんと目が合って苦笑いしていました。
すると、時計の音楽に合わせ丸尾さんと良知さんが即興で同じ曲を演奏し始めました。思わず、見ている方から「おお!」と笑みがこぼれました。
終わり頃には時間帯もあるのか後ろの奥の方まで、立ち止まって聴いてくれている患者さんがびっくりするぐらい多くいらっしゃいました。演奏に呼び止められているようでした。
保険証を持ったまま、手を胸元に置いて「うんうん」と頷くように聞いてくださっている方や、ベビーカーを音楽に合わせ揺らしている方、聞いている方の表情がどこか晴れやかなように見えて、開催できてよかったなと思いました。