私たちの悩みごと

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園田泰貴@waC

たくさんある
私たちの悩みゴト

アートコネクトしずおかの活動目的はとてもシンプルです。
障がいのある人と病の子どもたちを芸術の力を使って笑顔にしたい。
そんな活動をこれからも広げ、続けていきたい。そう願っています。
しかし、活動を続ければ続けるほど、悩みもまた増えていきます。
一体その悩みとは一体何か。
そしてこれからどうしていきたいのか。悩みは尽きません。

ありがたいことにわたしたちの活動は各地で歓迎されています。が、しかし・・・

特定非営利活動法人アートコネクトしずおかは、2017年法人設立以来、アートを通じて障がい児者やがんなどの病と闘う子ども達を支援し、地域社会や地元企業をつなぐ社会貢献活動を行っています。
個人的な活動から小さく小さく始めた事業は、ありがたいことに各方面からの反響を受けて歓迎され、行政をはじめ、企業から個人まで多くの方の賛同と応援の声を頂くようになりました。最近では、通常のアプローチでは門前払い必至の大きな企業様からもお声を掛けて頂けるようになり、大変恐縮しつつも喜びと感動に満ちた日々を送っています。しかし、同時に、いくつかの問題も抱えるようになってきました。

法人組織基盤が「脆弱」故の悩み 実質運営者2名での奮闘

  • ニーズに対応するのに精いっぱいで日々忙しく、手が回らなくなってきた
  • 人員を増やしたいが雇用する予算がなく組織基盤が安定しない
  • 事業の特性上、障がいのある方や障害者施設・団体、病院を対象とすることが多く、たまに来るボランティアの方にお手伝いをお願いすることがなかなかできない。また(来た時に)その都度教えたりすることも難しい
  • 事業は広がりをみせ丁寧に対応しているが、限られた人員で対応しているため事業遂行に支障をきたして信頼を失わないか心配
  • これからを担う若い方や学生にもこの仕事の魅力とノウハウを伝えたいが、費用も時間も人手もない
  • 特定非営利活動法人という体質上、人件費や外注謝金等に制限があり、助成金や補助金だけでは人員の増加を見込んだ組織づくりのための予算計画が難しい

私たちの悩み、最初に結論から言ってしまうと人員を増やして活動を充実させていきたいが、人件費や謝金等お金の管理・獲得、捻出がうまくいっていない」、「特定非営利活動法人の特性上、ボランティアがベースなのだから人員はボランティアベースで行えばいいのではといった声に対する考え方と実際の運営の考え方の違いがあります。

私たちは原則として「ボランティア」をメインとした活動は推奨していません。

何故なら、信頼関係を築きながら良いサービスを持続させていくことが(現時点では)難しいと考えているからです。
もちろん、ボランティアの方々の熱意やスキルは素晴らしいものがありますし、私たちの活動に賛同し応援くださるお気持ちも大変嬉しく思います。猫の手も借りたいくらいの日常において大切にしたい仲間である気持ちに変わりはありません。ではなぜボランティアでは難しいのか。

中谷匠@waC

中谷匠@waC

「ボランティア」では充実したサービスの持続が難しいという現実

学生や若い人たちに「社会経験」や「実務体験」と称してボランティアをお願いしている団体があったとします。お金を必要とせず無償で貢献することは確かに素晴らしいことだと思いますし、実を言えば我々もそんな若者を何人も何人も育てられたらどんなに素晴らしいだろうと思っています。
しかし、現実をみると、無償をベースにしたボランティア設定だけではモチベーションの持続とコントロールが難しいということがあります。実際にボランティア募集に苦戦していたり、すぐにやめてしまうボランティアに悩む団体を数多く見ています。
ボランティア参加を希望する若者には「目的・希望・夢」がきっとあるでしょう。時に、就職に有利になることを見通して参加を希望している学生もいますが、理由や目的はどうであれ若くして福祉や医療への貢献を視野に行動を起こす精神は本物なのだと思います。しかし、そんな目的・希望や夢を「利用」すべきではない。「無償」という労働の中で彼らの「希望」を「失望」に変えてはいけないと思うのです。私たちは希望や夢を育て伸ばすには、やはり「お礼の気持ち=活動対価と成功体験」を用意すべきだと考えています。
何より「無償の活動」はサービスに限界があると思います。最初はやる気に満ちていますから順調です。しかし時間の経過と共に「どうせお金もらえないんだし」という理由で手抜きを行ったり約束を守らなかったり。私たちの活動は心を通わせるデリケートな活動が多いが故に相手に対して敬意を欠いた不快な態度を取ったことによって、それまで地道に培ってきた信頼関係を失ってしまうことは本当に残念なことです。

「時間ができたら参加します」というスタンスではなかなか難しい

突然の申し込みで「貢献したいので何か仕事はありませんか?月に2~3回くらいならお手伝いできると思います。」といった申し出を頂くことがあります。しかし、時々活動に参加するというスタンスでは、障がいや病の人たちとへの理解と信頼関係の維持、作家特性や絵画の把握、視察や訪問、作品管理や撮影からデータ管理、展示企画等多岐に渡る仕事内容の把握が難しい」ということがあります。
折角ボランティア希望の方に来ていただいても、物を右から左に動かす様な単純な労働というものがほとんどないため、どこからどうやって事業内容を伝えて、結局その日に何をしていただきたいのかをその都度人員と時間を割いて説明する必要がありますが、その対象の病院施設や障害者事業所、障がいのあるアーティスト本人や支援員、担当者等の情報を理解して頂くことに時間を費やす余力がないということも問題となっています。

障がい者事業所や病院施設では現場の支援員や医療従事者も日々忙しく「たまにではなく、これからも継続してお願いしたい」「次はいつ来てくれますか」「こんなことに困っているのですが次はいつ相談にのって頂けますか?」といった声が数多く寄せられているのが現状です。

現場で作品・作家の魅力や質問・相談を受けることもあります。魅力を伝え広げるチャンスですが…

また、絵の展示のために企業に行った際も、この絵はどんな方が描かれているんですか?」「どういった経緯でこんな素晴らしい絵が描けるのでしょうか?」「この絵はどれくらいの時間が掛かっていますか?」等様々な質問を受けます。その度に我々は、その作品のみならず、作家さんご本人の魅力もお伝えするようにしています。こうしたコミュニケーションが更なる魅力や感動となって絵の価値を高め、拡がりを創出していくのだと感じています。
そんな中で、障がいや病の方々のことが理解・把握できていない方を派遣して対応していただくわけにもいかず、折角の善意を無駄にしてしまったり、ボランティアだからと無責任な対応をされて障がいや病のある方々にご迷惑となるといったことになっても困ってしまうといったジレンマがあります。

私たちはしっかりと雇用契約を交わし、この仕事のプロフェッショナルを育成したいと考えています。

私たちは何よりもまず、社会や企業、個人のニーズに応えるために組織基盤を強固にしていかなければならないと考えています。実質的な常勤体制が2名という現状では活動の拡がりに対応できなくなるという不安が常にあります。
ボランティアの方々の力も必要です。大切な仲間だと思っています。しかし、その前に組織体制を安定させるために必要な人材をきちんと雇用して育成し、共にこれからの静岡の福祉と医療を盛り上げていける仲間として受け継いでいけるようにしたい。そして組織体制が安定したらボランティアの方々を積極的に受け入れ、活動を皆で拡げていけたらと考えています。

  • 私たちの活動を担い、継続して未来へ繋げる人材を育てたい
  • この活動(仕事)に誇りが持てて継続していけるようにしたい
  • 障がい者アートや子どもへ芸術を届けるこうした活動が静岡の新しい文化として県民に認知され、広がっていくようにしたい
  • 障がいのある人を積極的に雇用して共に働きたい(仕事と場所を作りたい!)

それを実現させるためにはまず組織の財政を安定させなければなりません。協力してくれる方々に安定して給与を支払えるようにしていきたいです。
NPO法人の収入源には「助成金・補助金」「会費」「寄付金」「受託事業収入」「自主事業収入」があり、助成金は民間財団から NPO 活動を支援するために提供される資金、補助金は 行政機関から同じ趣旨で提供される資金、受託事業収入は企業や行政機関から 委託される事業資金です。
しかし私たちは静岡の地域企業との繋がりを強固にして、共にWIN-WINの関係を構築して障がい者や病の子どもへ向けた(特別なものではなく継続して行われる)芸術活動を「静岡の文化」として昇華させることを目指しています。
これからを担う若者へと受け継ぎ、これからも文化として発展していけることを願って活動を続けて参ります。
私たちの困りごと。これをどう乗り越えるか。私たちの活動を歓迎してくれる(待っている)人、福祉・医療施設は県内にたくさんあります。

皆様のご理解とご協力をお願いできたら幸いです。