市川 大輔氏 Daisuke Ichikawa
しずおか焼津信用金庫 経営戦略室 調査役
一般財団法人しずしん地域文化振興財団 ギャラリー「ゆめ空間」
しずおか焼津信用金庫
経営戦略室
〒420-0838 静岡県静岡市葵区相生町1-1
TEL:054-247-6699
URL: https://www.shizuokayaizu-shinkin.co.jp/
障害のある人の作品の魅力はどんなところにもあるとお考えですか?
アートコネクトしずおかさんとの最初の出会いは、3年ほど前になります。
静岡県による「障害者文化芸術振興事業」の一環として取り組まれている事業として、業界団体より紹介を受けたことがきっかけです。
恥ずかしながら、その時初めて、この障がい者アートの普及モデルを知りました。
当金庫で、どのようなお手伝いができるかを考えた時に、本店に隣接する「ギャラリー『ゆめ空間』」にて、多くの作品を一堂に展示し、広く、地域の皆様にご覧いただく機会を提供することが、この事業に携わる皆様にとって最良の選択との結論に至りました。
初見は写真でしたが、作品を拝見した際には、作家の皆さんが、鮮やかな色を惜しみなく使用され、作品を仕上げているなという印象を持ちました。当金庫ギャラリーにおけるプロジェクトを進めるにあたり、展示会名称案であり、後に採用された「Brilliant Color」というタイトルは「ピッタリ」だと感じたことを覚えています。さらに、作品の現物を拝見させていただくと、その思いは一層強くなり、色遣いを含めた作品の力強さには衝撃すら覚えました。
その他にも、上手く見せたいとか、モチーフに直接関係ない要素での計算が無い、「邪気が無い」と言いますか、作家さんの思いのままに描かれているなという印象を受けました。そのような点で、様々なジャンル、モチーフの作品が展示されていましたが、見ている側としても、清々しさを得られる作品が多かったと印象に残っています。障害のある人の作品を鑑賞したり活用したりすることでどんな効果が期待できると思いますか?
直接的には、作家さんの経済活動に向けた導入支援になると考えます。また、ご自身の作品がギャラリー等にて、不特定多数の皆様に鑑賞いただける環境で展示されているという事実は、今後の創作意欲を湧き立てるものになると考えます。
現状は、導入支援に留まるものですが、その積み重ねによって、障がいのある方に向けた取組みが、「支援」と構えたものではなく、「自然」にできるようになれば、なお良いと考えます。
また、「まちじゅうアート」の作品には、鑑賞者への心に真っ直ぐ響く魅力があるように感じます。障がい者アートとの関わりを考えるとき、「障がい者を支援する」という方向性になりがちですが、障がい者アートから、生きる活力を貰い、鑑賞者側が支えられる一面も効果としてあるのではないでしょうか。
共生社会における今後の未来について
当金庫を含め金融機関においても、店舗のバリアフリー化や、視覚障がい者対応ATMの導入、筆談シートの備置き等、様々なお客様がご利用しやすくなる施設、設備の導入を進めているところです。
ユニバーサルデザインの導入検討にあたっては、ゴールこそありませんが、お客様の声を大切にし、障がいのあるなしにかかわらず、みながフラットな意識の中で相互に尊重しあえる社会が築かれていくことを切に願いますし、「まちじゅうアート」を含め、当金庫の取組みが、その一助となるのであれば、幸せなことだと考えています。